発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004048441
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12歳男児.野球練習中に遠投したときに轢音とともに右肩痛が出現し投球不能となり来院した.初診時,X線・CT所見で烏口突起先端の骨折と転位した骨片を認めたが,関節窩や上腕骨頭およびその周囲の損傷を思わせる所見は認めなかったため,烏口突起の単独骨折と診断して観血的治療を施行した.術中所見では転位骨片には烏口肩峰靱帯及び上腕二頭筋短頭と烏口腕筋の合同腱が付着し,外下方に牽引されていた.骨片は10×3mm大で脆く骨接合のみでは固定性が不十分と考えられたため,烏口突起に骨孔を作製してネスプロン糸で合同腱の引き抜き縫合を行った後に骨片をワッシャーとスクリューで固定した.術後6週で可動域はほぼ正常となり,術後3ヵ月で骨癒合が完成した.現在,可動域制限や運動時痛はなく投球可能である.本症例の発症機序としては自己筋力(上腕二頭筋短頭と烏口腕筋の合同腱の収縮)によって骨折が生じたと推察された
©Nankodo Co., Ltd., 2003