発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008366093
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
42歳男。交通外傷にて受傷し、救急搬送された。右肩関節周囲に著明な腫脹および圧痛を認め、動作時痛があった。JOAスコアは6点で、合併損傷として右橈骨骨折、右尺骨骨折、右第3、6肋骨骨折、右胸腔内出血、右肺挫傷を認めた。単純X線では肩甲骨関節窩から体部に至る骨折を認め、単純CTでは肩甲骨頸部骨折を伴う関節窩骨折を認め、いわゆるT型骨折の所見であった。3-DCTでは関節窩が後上方から前方ほぼ中央へと二分される像を認めた。安静にて加療し、受傷8日後、前腕骨骨折と肩甲骨骨折に対して全身麻酔下に手術を行った。まず仰臥位にて橈骨・尺骨を整復固定し、左側臥位として肩関節後方から進入した。肩甲骨頸部へ到達して関節窩を整復し、cannulated cancellous screw 1本で固定した。棘骨折を認めたため整復したところ、頸部は良好な位置に整復され、棘骨折をロッキングプレートとスクリューで固定した。術翌日から術後3週までは滑車運動を中心とした他動運動を実施し、術後3週から自動運動を開始した。術後7ヵ月時の肩関節可動域は屈曲170°、伸展30°、外転90°、外旋60°、内旋は腰部までであった。単純X線像では肩甲骨頸部の骨癒合を認め、3-D CTで関節窩の形状は良好で、JOAスコアは91点であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008