発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004148693
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16歳男.左脛骨近位内側部と左足関節内果部の疼痛及び腫脹を主訴とした.慢性肉芽腫にて入退院を繰り返しており,又,下垂体性小人症と診断され成長ホルモン療法を施行されていた.今回,誘因なく主訴症状が出現,徐々に増悪し歩行困難となり,発熱も出現した.左足関節部切開排膿が行われ,培養検査にてAspergillusが検出されたため,抗真菌療法が行われた.しかし,単純X線にて左脛骨近位内側に骨吸収像が,CTにて同部に骨皮質の破壊と吸収像がみられ,脛骨骨髄炎と診断し,全身麻酔下に脛骨内側部の病巣掻爬を施行した.この時の組織学的所見では,グロコット染色において黒色を呈するY字型の真菌が確認され,起炎菌はAspergillusと考えられた.術後には,抗真菌療法を15日間施行した.発熱はなくなり,炎症所見も軽減し,血液学的検査にても炎症が沈静化したと考え,再度病巣掻爬を施行し,同時に骨欠損部にβ-リン酸三カルシウムの充填を行った.現在,局所の炎症の再燃はみられず,独歩可能である
©Nankodo Co., Ltd., 2004