発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010338488
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
30歳女性。患者は1年余前からの右膝外側の自発痛と圧痛の増悪で受診となった。X線では腓骨近位内側の皮質骨に不整像がみられ、MRIでは腓骨近位部の皮質骨表面と骨内にT1強調で低信号、T2強調で中等度信号を示す病変が認められた。また、同部はガドリニウムで造影され、周囲の筋内にも造影効果がみられた。腓骨近位部骨腫瘍を疑い、切開生検を行ったところ、腓骨近位部の骨膜に異常はなかったが、骨膜切開で皮質骨の欠損がみられ、腓骨表面から骨内までの組織を採取した。病理所見では、病変は蔓状に連なる線維組織球様細胞の小結節状増殖からなり、破骨細胞様多核巨細胞を含んでおり、骨膜下骨表面と骨内の病変は同様組織像であった。免疫染色結果から腓骨発生の蔓状線維組織球性腫瘍と診断され、腓骨近位部皮質骨の部分切除、骨内病巣掻爬、骨セメント充填を行った結果、術後に自発痛、圧痛は軽減し、目下、34ヵ月経過で局所再発や遠隔転移は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2010