発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010155710
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44歳男。右肩関節痛が出現・増悪し、石灰沈着性腱板炎の診断でステロイド注入、非ステロイド性抗炎症薬投与、リハビリを行い症状改善したが、4ヵ月後に右上肢の激痛が出現した。右肩甲部周囲~上肢に激痛があり、高度疼痛のため可動域や徒手筋力テスト、反射は測定不能であった。また、橈骨・正中・尺骨・筋皮・腋窩神経領域に痛覚過敏の知覚障害を認めた。単純X線像では右上腕骨頭前方(肩甲下筋腱部)に石灰化病変を認め、腕神経叢麻痺時の単純X線像では烏口突起下に石灰化病変を認めた。CTでも烏口突起下に石灰化病変を認めた。以上より、腕神経叢への石灰流出が原因で腕神経叢麻痺を生じたと考え手術を施行した。三角筋・大胸筋間進入に準じ前方皮切より進入し、肩甲下筋上の滑液包内より流出した石灰と乳白色の結晶液が腕神経叢を圧迫していたため、顕微鏡下に摘出した。病理組織像は石灰化組織が多く、炎症はリンパ球様細胞浸潤が主であった。術後4年の現在、単純X線像で石灰沈着は認めず、肩関節ROMも正常で、上肢の疼痛もなく麻痺も回復している。
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