発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006004690
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54歳男.強い腰痛と37℃台の発熱を認め,左股関節部痛のため腸腰筋肢位を呈していた.また,左腰部の皮下腫瘍による著明な腫脹を認めた.腰椎・胸部X線,造影CT,MRI所見より結核性腸腰筋膿瘍を疑い腰部膿瘍穿刺を行ったところ,direct PCR法にて結核菌が検出された.骨病変を伴わない両側性結核性腸腰筋膿瘍と診断し,イソニアジド,リファンピシン,塩酸エタンブトール,硫酸ストレプトマイシンによる抗結核治療を開始した.しかし腰痛は持続し,腰部穿刺部が瘻孔となり多量の膿滲出液の漏出が継続するため,左腸腰筋膿瘍,傍脊柱筋及び皮下膿瘍に対して手術を施行した.術後4週に著明な左腸腰筋膿瘍の縮小と滲出液の減少を認めドレーンを抜去したが,左腹部と腰部のドレーン挿入部に瘻孔を形成した.術後7ヵ月に瘻孔は治癒し,腸腰筋膿瘍も消失した.右腸腰筋膿瘍は外科的処置は行わなかったが同様に消失した.術後2年6ヵ月現在,腸腰筋膿瘍の再燃はなく腰痛もほぼ消失している
©Nankodo Co., Ltd., 2005