発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009224974
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4歳女児。転倒後に臀部疼痛を訴え近医にて骨腫瘍を疑われて当院紹介受診した。痛みは軽減しておりCTで仙椎椎体を中心に椎弓まで広がる病変を認め骨皮質は菲薄化しており、MRIでは椎体内にT1強調像で低信号~不均一な高信号、T2強調像で高信号に描出される一部液面形成のある病変を認めた。切開生検を施行し肉眼的には大部分は血液で、ごく一部に固形成分を認めた。病理所見より固形成分は血液を内包する不規則な嚢胞の形成を認めABCと診断した。疼痛や神経症状はなく経過観察としたが徐々に病変が拡大し、20ヵ月後のX線およびCT側面像でS1の圧迫骨折を認め、圧迫骨折の進行と神経障害の予防目的で手術を施行した。椎弓根部を開窓して病巣掻爬および自家骨とβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)を用いた骨移植を行った。術後約30ヵ月、症状の訴えはなく残存する嚢腫の再増大は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009