発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2005120240
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34歳女.甲状腺腫瘍の経過観察中,左前胸部痛が出現した.胸部X線像で左胸部に境界明瞭な長径約7cm大の腫瘤を認め,胸部CT,MRIでは左前胸壁に境界明瞭で胸腔内へ突出する石灰化を伴う腫瘤を認めた.内部は高信号の多胞性分葉状腫瘤であった.骨シンチグラムでは腫瘤陰影に一致して集積を認めた.開胸すると,腫瘍は第4肋骨を中心に胸腔内へ突出する凹凸不整な分葉状発育を示し,第2,5肋間筋と小胸筋の一部と共に摘出した.胸壁欠損部にはプロリンメッシュを用いた.切除標本は肋骨の破壊を伴い胸腔側に膨隆性発育を示す硬い腫瘍で,割面では多量の凝血塊を含む血性内容液を有する多胞性嚢胞を認めた.ルーペ像でも血液を含む嚢胞腔が存在し,強拡大では多数の多核巨細胞と紡錘形細胞の増殖を認め,ところどころに類骨形成もみられ,動脈瘤様骨嚢腫と診断した.術後経過は良好で,術後12ヵ月経過現在,再発所見や胸壁痛はない
©Nankodo Co., Ltd., 2005