発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009224973
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67歳男。トラクター運転中の転落受傷の直後から四肢麻痺が出現し救急搬送され、意識清明で自発呼吸を認めた。温痛感、触覚ともにC5以下で完全消失、運動は僧帽筋で徒手筋力テスト(MMT)5、三角筋以下MMT 0、深部腱反射は上下肢とも消失、頸椎CTでC3-C4左椎間関節に骨折を認めC4頸髄損傷(Frankel分類A)と診断した。入院2日目に意識レベルの低下、自発呼吸の減弱を認めCO2ナルコーシスと診断して緊急気管挿管し、呼吸器設定を同期式間欠的強制換気モニターを装着して人工呼吸器離脱を開始した。16日目に人工呼吸器を完全離脱し、19日目の頸椎MRI T2強調像でC3-C4椎間レベルに脊髄の腫大と高信号領域を認めたが脊髄への圧迫所見や脊柱の不安定性がないため保存的治療を行った。受傷後1ヵ月の胸部X線で左横隔膜の動きを認めず左横隔膜麻痺と診断した。入院後約1.5ヵ月にカフ付きカニューレからスピーチカニューレに変更し、痰は多いが呼吸は安定した。受傷後約2ヵ月には肺活量750ml、%肺活量22.2%、1回換気量390ml、1秒率97.2%であった。知覚は感覚鈍麻に改善したが運動に変化はなく左横隔膜麻痺も残存したがFrankel分類はBに改善し、深部腱反射は上肢で正常からやや亢進し下肢は軽度減弱となった。受傷後約7ヵ月にスピーチカニューレの抜去、気管切開孔も閉鎖し受傷後8.5ヵ月に転院した。
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