発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009037670
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20歳女性。患者は誘因なく右肘部の発赤、腫脹、疼痛が出現し、著者らの施設にある皮膚科へ初診となった。滲出液の培養検査で多数のS.aureusが検出され、蜂窩織炎と診断、セフジニル、クリンダマイシン、アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム配合を順次使用するも改善が得られず、整形外科へ紹介となった。受診時、肘頭を中心に上腕後面から前腕尺側の広範囲に腫脹、不均一な発赤が認められ、肘頭部には一部皮膚に黄色変性、強い自発痛、圧痛がみられた。細菌培養検査では陰性で、ピペラシリンナトリウム(PIPC)に薬剤を変更したが、これも無効で、2日後に病巣郭清術が行なわれた。術後、PIPC点滴を継続したが、その後も潰瘍は拡大し、皮下壊死部のスタンプ標本では多数の抗酸菌を認め、遺伝子検査の結果、M.shinshuenseが同定された。そこで、リファンピシンとストレプトマイシン硫酸塩投与を行ったが、肘頭部の潰瘍は径10cmまで拡大し、広範囲病巣切除術を行ったところ、疼痛や感染は著明に改善し、術後6週に臀部からの分層植皮術が行なわれた。目下、植皮後1年3ヵ月経過で感染の再発徴候は認めず、肘関節の可動域制限もみられていない。
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