発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008366094
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79歳女。右変形性股関節症に対し、右前上腸骨棘と仙骨を圧迫して固定する側臥位固定ポジショナーを使用し人工股関節全置換術(THA)を施行した。術後より鼠径部痛が強く、下肢伸展挙上不能が続いた。筋力は正常範囲、神経学的にも異常はなく、その後症状は軽減した。退院後、跛行、歩行時痛があり、術後4ヵ月ごろから鼠径部外前方部痛、大腿痛と大腿重感が出現した。大腿痛は前外側部にあり、前上腸骨棘の内下方に圧痛を、Tinel徴候様の大腿部への放散痛を認めた。歩行時痛はなくなったが、階段昇降および座位での股関節屈曲時に疼痛が増強し、保存的治療を行うも効果は一時的であった。感覚異常性大腿痛を疑い神経剥離術を施行したところ、術後2週より大腿痛は軽快し、術後3ヵ月で軽い鼠径部内側痛が残存するのみとなり、術後9ヵ月には股関節周辺の症状は消失した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008