発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012360393
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38歳男。バイクで走行中に車と接触して転倒・受傷し、当院に搬送された。左鎖骨部に開放創、左肩に腫脹を認め、左肩屈曲・外転と肘屈曲、手関節伸展が障害され(すべてMMT 0)、左上肢C5~C6領域の知覚が脱失していた。単純X線像では左鎖骨骨幹部と遠位端の2ヶ所で重複骨折しており、CTではこれらの骨折に加えて肩甲骨頸部骨折と烏口突起骨折および第2~3肋骨骨折を認めた。胸部X線正面像で測定した[胸椎棘突起~肩甲骨内側縁までの距離]は、右に比べて左が1.5cm外側に偏位しており、左血胸も認められた。受傷2週後に手術を行った。腕神経叢を展開したところ、C5~C6神経根が合流した上神経幹部に2cmの神経欠損を認めたため、腓腹神経を移植した。鎖骨骨幹部はプレート固定を行い、遠位端は引き寄せ鋼線締結固定を行った。鎖骨内固定後、透視下で確認したところ肩甲骨頸部骨折と烏口突起骨折の転位は軽度であり、不安定性も著しくはなかった。術後は鎖骨バンドと三角巾固定を3ヵ月間行い、術後4ヵ月で骨癒合が得られた。術後1年2ヵ月の現在、筋皮神経と橈骨神経は完全に回復し、肩甲上神経と腋窩神経領域の筋はMMT 2である。
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