発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008146475
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71歳女性。患者は腰痛から右臀部痛で近医を受診、腰部脊柱管狭窄症を疑われ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)内服と仙骨硬膜外ブロックを受けたが、疼痛増悪で歩行困難となり、著者らの施設へ紹介となった。所見では右臀部から大腿後面に疼痛、検査で著明な炎症反応を認めた。X線ではL3~4に軽度のすべりを認めたが、MRIで脊柱管狭窄は認めなかった。入院3日目に右臀部の腫脹に気付き、造影CTを行ったところ、右仙腸関節の前後、右臀筋、腸腰筋内に膿瘍像を認め、骨シンチでは右仙腸関節に異常集積がみられた。以上、これらのことから右化膿性仙腸関節炎と診断し、右臀部の穿刺で約3mlの膿を得、翌日に切開排膿ドレナージを行い、腸腰筋と臀筋にドレーンを留置した。そして入院時提出の血液細胞培養でB群溶血性連鎖球菌が検出され、後日膿の培養でも同菌が検出されたことから、ベンジルペニシリンカリウムの筋肉内注射とクリンダマイシン点滴静注を行なった結果、炎症反応は改善し、CT上では膿瘍の著明減少を認め、術後3ヵ月で独歩退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008