発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012213779
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症例は65歳男性で、息切れ、全身倦怠感および嘔気を主訴とした。血圧50mmHgとショック状態に陥り、心タンポナーデによる循環不全の診断で救急搬送された。血液検査で高度の炎症反応を認め、心電図検査で広範囲の誘導で低電位が認められた。心エコーで心嚢液の貯留を認め、胸骨正中切開による洗浄ドレナージを行う方針とした。術中、心臓の表面を白色ベラークが覆い、心膜を切開すると大量の膿性心嚢液が噴出した。血圧は上昇し、心タンポナーデが解除された。心嚢内を洗浄した後、ベラークを除去した。術後、糖尿病の合併が判明し、強化インスリン療法による血糖管理を行った。また重度の齲歯に対する治療を並行して行った。心嚢液の培養でMSSAが検出され、細菌性心嚢貯留が考えられた。更に心外膜表面に厚い一面の白色ベラークが付着していたことから、化膿性心外膜炎と診断した。抗生物質の投与を25日間行い、第38病日に軽快退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011