発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008146476
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
65歳女性。患者は右股関節痛の増悪で受診となった。所見では疼痛性跛行と右股関節可動域の軽度制限を認め、X線では末期変形性股関節症性変化を認めた。消炎鎮痛薬処方で杖による免荷歩行を指導したが、症状が軽快せず人工股関節全置換術(THA)が予定された。だが、その後、右股関節周辺の疼痛が急激に増悪し、発熱と右腸骨窩に圧痛を伴う腫脹、股関節の他動伸展時の疼痛増強を認めた。MRIでは右腸骨内板側に6×2.5cmのT1強調で等信号、T2強調で高信号の病変、造影CTでは同部位に嚢胞性病変が認められたが、造影効果はなかった。腸腰筋内血腫を疑い、切開ドレナージを行ったところ、腫瘤状に膨隆した腸骨内板骨膜の切開で暗赤色のやや粘稠な液体が排出され、ドレーンを留置して閉創した。内容液には細菌は認めず、細胞診でも明らかな悪性所見は認めなかった。術後は歩行時の右股関節痛は軽快し、予定したTHAは延期となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008