発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007291649
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54歳男性。患者は近医にて左足関節外果滑液包炎に対し切開排膿術を受けたが、術後、発熱ならびに全身倦怠感が出現し、劇症型A群溶連菌感染の疑いで術後2日目に著者らの施設へ緊急入院となった。所見では全身に発赤を認め、左足部切開創の周囲には著明な腫脹、熱感、水疱形成がみられた。血液検査では軽度肝機能障害、腎機能障害、血小板減少、炎症反応増大、凝固能異常を呈していたが、溶連菌簡易検出キットの結果は陰性であった。だが、水疱の細菌培養にてMSSAが、血液検査にてTSST-1が検出されたことより、本症例は足部滑液包炎を契機とした毒素性ショック症候群と診断され、昇圧薬の投与、輸液管理、抗生物質の投与など支持療法を開始した。その結果、第3~4病日目に血液検査所見はいずれも正常化し、第6病日目には発熱は消失し、全身状態も安定化した。尚、左足部には皮膚落屑が出現したが、切開創に対し連日の洗浄処置を行なうことで、第45病日目に患者は退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007