発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007095258
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
50歳男。自転車で転倒し、左膝蓋骨骨折の診断にて骨接合術を施行したが離開を認め、再骨接合術(circler wiring法)を施行した。しかし、その後も徐々に骨折部の離開が進行し、再々骨接合術を行った。翌日より40℃の発熱と、膝前面の皮膚の壊死を認め、抜釘および洗浄を施行し、手術時の創部培養にてMRSAを認めた。左膝前面に約15×5cmの皮膚および軟部組織の欠損を認め、大腿骨顆部が露出しており、膝蓋骨も離開し露出していた。可動域(ROM)は-30°~40°と高度に伸展・屈曲制限していた。単純X線側面像では膝蓋骨の離開を認め、MRIでは矢状断像で左膝全面皮下に広範囲な炎症像が広がっていた。入院後、急激に全身状態が増悪し、播種性血管内凝固症候群(DIC)となり、vacuum-assisted closure(VAC)療法を開始した。治療開始20日後には鮮紅色の良好な肉芽にて創部は閉鎖され、明らかな浸出液の減少を認めたため、植皮可能と判断して21日目に全身麻酔下に極薄分層植皮術を施行した。植皮はほぼ全域で生着し、術後48日目に退院した。治療後1年4ヵ月の現在、ROM・膝伸展筋力は入院時と変化ないが、感染徴候や疼痛は認めず独歩可能である。
©Nankodo Co., Ltd., 2006