発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007095256
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89歳男。主訴は右下肢の腫脹および疼痛で、CTで大腿内側に境界不明瞭な膿瘍陰影と、鼡径部の大腿静脈内に腫瘍塞栓像を認めた。また、胸部CTで多発性肺転移巣を認めた。MRIでは大腿内側に20×10×10cmの巨大な腫瘍を認め、T1強調画像で筋肉と等信号、T2強調画像でまだら状の高信号を示し、Gd-DTPAで不均一に造影された。確定診断のため切開生検術を行い、病理組織学的に異型性の強い好酸性の紡錘形細胞が束状に増殖しており、免疫染色でα-SMA陽性で、平滑筋肉腫と診断した。高齢且つ多発性肺転移のため、対症療法として原発巣への放射線単独療法計60Gyを施行した。照射終了1ヵ月後で右大腿部の腫脹と疼痛はほぼ消失し、歩行可能となった。タリウムシンチでは腫瘍への集積は経時的に減少し、照射後3ヵ月で集積は著明に減少した。放射線照射は局所療法としては有効であったと判断したが、照射終了9ヵ月後に肺転移巣の増大による呼吸不全のため死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2006