発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006304472
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58歳男.右膝前面の疼痛・腫脹が出現し,保存的治療で軽快しなかった.血液検査で高度の炎症所見を認め,化膿性膝蓋前滑液包炎と診断した.入院時の所見で右膝前面,膝蓋骨部を中心に8×10cm大の波動を伴う発赤があり,圧痛,腫脹,熱感を認めた.滑液包穿刺で血性内容液2mlを採取し,細菌培養で黄色ブドウ球菌が検出された.MRIでは膝蓋前滑液包内にプロトン強調像で等信号,T2強調像で高信号の領域を認めた.抗生物質投与で炎症所見は軽度改善したが症状は改善せず,鏡視下手術を施行した.関節鏡を膝蓋前滑液包内に挿入し,滑膜の増生と血餅および壊死組織片の充満を認めた.膝蓋骨内側縁にポータルを追加し,シェーバーで増生した滑膜組織をデブリドマンし,洗浄後ドレーンを留置した.病理組織所見では肉芽組織,高度好中球浸潤を伴った壊死組織やフィブリン塊を認めた.術後臨床所見は速やかに軽減し,1週後に独歩退院した.術後半年経過し,再発はない
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