発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006225127
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55歳女.左大腿部に自覚症状のない皮下腫瘤が出現し,腫瘤に変化はなかったが,切除希望にて当科受診した.左大腿中央内側に20×50mmの弾性硬,比較的境界明瞭な皮下腫瘤を触知し,発赤や圧痛はなかった.血液検査で異常所見は認めなかった.MRIでは腫瘤部にT1強調像で低輝度,T2強調像で高輝度の炎症性所見を認めた.局所麻酔で腫瘤部直上に皮切を加え,皮下の剥離を進めたところ,瘢痕様組織中より白色の紐状組織が出現した.徒手的に容易に摘出でき,径1mm,全長20cmで,蠕動運動を認めた.虫体の鑑別所見で,Manson裂頭条虫のプレロセルコイドと同定された.カエルなどの生食の既往はなく,井戸水の摂取歴はあったが,感染経路は特定できなかった.鑑別結果後プラジカンテル2400mgを2日間投与し,術後7ヵ月経過して腫瘤の再発はない
©Nankodo Co., Ltd., 2006