発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006225116
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
81歳女.左下肢痛が出現し,仙骨部硬膜外ブロック,消炎鎮痛薬は無効であった.入院時,左下腿外側に疼痛としびれを認め,知覚障害,筋力低下はなかった.膝蓋腱反射,アキレス腱反射は両側陽性で,左臀部のValleix点に左下肢への放散痛を伴う圧痛を認めた.Lasegue徴候,Freibergテストは弱陽性であった.血液所見で炎症反応があり,胸部X線で右上肺野に腫瘍陰影を認め,肺癌と診断した.腰椎X線ではTh12,L2-L3椎体に圧迫骨折を認めた.全身造影CTでは左坐骨部に腫瘍陰影を認め,肺癌の転移性骨腫瘍と考えた.坐骨神経痛の原因は,坐骨部腫瘍が坐骨神経を後方に圧排する力と,梨状筋が坐骨神経を前方に押さえる力により緊張が加わったためと推察した.坐骨神経造影ブロックでイオトロラン10mlを注入し再現痛を誘発した後,2%メピバカイン10mlとデキサメタゾン2mgを注入した.その結果,疼痛は術直後は数時間完全消失し,その後も数日間は軽減した.2日後に内科転科し,6週後に肺癌腫瘤の増大を認め,呼吸機能が低下し死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2006