Japanese
English
特集 腰やお尻の痛み—非腰椎性腰殿部痛の診断と治療
梨状筋症候群
Piriformis Syndrome
尾鷲 和也
1
Kazuya OWASHI
1
1日本海総合病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery,Nihonkai General Hospital
キーワード:
梨状筋症候群
,
piriformis syndrome
,
坐骨神経ブロック
,
sciatic nerve block
,
陰部神経痛
,
pudendal neuralgia
Keyword:
梨状筋症候群
,
piriformis syndrome
,
坐骨神経ブロック
,
sciatic nerve block
,
陰部神経痛
,
pudendal neuralgia
pp.105-112
発行日 2019年2月25日
Published Date 2019/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201051
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
殿部痛を生じさせる病態には画像診断が困難なものが少なくないが,梨状筋症候群(piriformis syndrome)もその代表的な病態の1つである.本病態は梨状筋によって坐骨神経が絞扼されて起こる症候群で,坐骨神経の刺激症状と軽い麻痺症状が生じるとされている12).
1928年にYeoman19)が仙腸関節の炎症に起因する坐骨神経痛を報告したのが最初で,1947年にRobinson17)により梨状筋症候群という名称が初めて用いられた.このように病名は古くから知られ,殿部から下肢にかけての坐骨神経痛症状が生じる症候群として認識されてはいるものの,診断法が確立されておらず,本邦に限らず,欧米などにおいても積極的な治療が行われていないのが現状である3,7,18).複数の医療機関を受診しても診断がつかず,挙句の果てに精神科の受診を勧められ,途方に暮れている患者も全国にはいるはずである.
筆者は脊椎外科を専門としているが,2001年に腰椎MRIが正常で安静時痛を伴う頑固な右坐骨神経痛症状の50歳女性例に遭遇して以来,本疾患に関心を払うようになり,その結果,本症の頻度は決してまれではないと確信するに至った.本稿では,自験手術例を中心に本疾患の疫学,病態,診断,治療などについて文献的考察も加えて記載する.
Copyright © 2019, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.