発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006197901
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88歳女.80歳頃より腰痛,骨粗鬆症,Th11およびL1圧迫骨折で通院していた.転倒後に腰背部痛が出現し,5日後のX線でTh12の新鮮骨折を認めた.ベッド上臥床安静による加療と,外来より継続して活性型ビタミンD3,Ca製剤の内服,週1回エルカトニン20単位の筋注を行った.徐々にTh12椎体の破壊と骨吸収は進行し,受傷後5週目頃より食欲不振,意欲低下傾向が出現し,血液検査で血清Ca値の上昇を認めた.更に腎機能障害が進行し,意識障害が増悪したためすべての内服を中止した.輸液療法と1日2回40単位のエルカトニン筋注を行い,血液所見は正常化した.全身検索で転移性骨腫瘍,多発性骨髄腫,化膿性脊椎炎などは否定され,活性型ビタミンD3の副作用と考えた.経過中骨癒合の徴候はなく,受傷後3ヵ月のX線で骨折部の異常可動性を認め,椎体骨折後の偽関節と診断した.その後疼痛は軽減し,一本杖歩行可能となって受傷後4.5ヵ月に退院した
©Nankodo Co., Ltd., 2006