発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008146467
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
骨転移を伴う軟部肉腫に発生した高カルシウム(Ca)血症の臨床所見と治療成績について検討した。対象は骨転移を伴った軟部肉腫10例(男性6例、女性4例、平均年齢55歳、経過期間平均7ヵ月)で、診断は悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)3例、悪性線維性組織球腫(MFH)2例、脂肪肉腫2例、横紋筋肉腫、悪性顆粒細胞腫、淡明細胞肉腫各1例であった。1)10例中3例に高Ca血症(Albによる補正血清Ca平均最高値14.7mg/dl)が認められ、診断時期は骨転移診断時2例、治療経過中1例であった。2)診断はMPNST、横紋筋肉腫、淡明細胞肉腫が各1例、最終骨転移部位数は全例が6ヶ所以上で、X線所見は溶骨性であった。3)全例で高ALP血症(平均最高値1165U/l)が認められ、臨床症状は悪心、嘔吐、食欲不振を認め、2例に傾眠となる軽度の意識障害を認めた。4)治療はパミドロン酸二ナトリウム1例(2週後に再燃)、エルカトニン1例(改善なし)、両者併用1例(7,9ヵ月後に再燃)が行われ、転帰は全例で腫瘍死であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008