発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006091347
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症例1は40歳男性で,約1.5tの積荷が右膝関節部に落下した.入院時所見,単純X線,血管造影検査より,右大腿骨外顆骨折,右腓骨近位端骨折,右膝窩動脈損傷と診断した.膝窩動脈は完全に断裂しており,左大腿部より採取した大伏在静脈を移植した結果,右下肢の血流は改善した.その後,右母趾背側と第3趾の壊死を認め,術後38日目に第3趾切断術を行った.症例2は6歳男児で,交通事故にて受傷した.入院時所見,単純X線,血管造影検査より,右脛骨・腓骨近位部骨折,右膝窩動脈損傷,右腓骨神経損傷と診断した.手術所見では,前脛骨動脈の脛骨骨折部への嵌頓により,膝窩動脈が外側に牽引され閉塞していた.前脛骨動脈の結紮・切離を行い,右脛骨骨折は2本のKirschner銅線を用いて骨接合を行った.術後経過は良好で,右下肢の血流は改善し,コンパートメント症候群も認めない.閉鎖損傷に伴う血管損傷は診断が遅れ切断率も高いため,膝関節周囲の閉鎖性骨折では,膝窩動脈損傷を念頭に置く必要がある
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