発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005275576
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76歳男.当科初診の約1年前から肺扁平上皮癌に対して化学療法+放射線療法を受けていたが,腫瘍の縮小は得られていなかった.半年ほど前から腰痛・右下肢痛があり,最近,右腰背部に腫瘤が出現してきたため受診した.腫瘤は直径7cm,弾性硬で,同部に圧痛はなかったが,腰部の動作時痛および右坐骨神経に沿った自発痛を訴えた.腰部MRIで傍脊柱筋内にT1強調像で低輝度,T2強調像で高輝度,ガドリニウムで辺縁が造影される境界明瞭な嚢腫様病変を認めた.腫瘤の穿刺を行ったところ穿刺液の性状は髄液と異なる所見であったが,培養で細菌は検出されず,細胞診でも悪性細胞は認められなかった.穿刺後3日間は腰痛,坐骨神経痛とも軽快していたが,腫瘤が再増大するにつれて症状も再発した.生検を兼ねて腰背部軟部腫瘍切除術を行い,病理組織学的に扁平上皮癌と診断した.手術後,腰痛・坐骨神経痛は消失した
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