発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010044189
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39歳男性。患者は腰痛、右臀部痛、右下肢のしびれを主訴とした。初診時、歩行は可能で、両側膝蓋腱反射とアキレス腱反射の低下が認められた。また、膀胱直腸障害として軽い残尿感と排尿遅延が認みられた。一方、MRIではTh12~L1レベルでT2強調画像にて軽度高信号、Gd-DTPAにて軽度増強される硬膜内腫瘍が認められた。更に腫瘍内頭側にはT2強調画像で高信号、T1強調画像で低信号かつ造影効果のない嚢胞様変化が確認された。以上より、本症例は円錐部から馬尾にかけての硬膜内髄外腫瘍(神経鞘腫)が疑われ、後方進入でTh11、Th12、L1の椎弓切除術が行なわれた。その結果、病理組織学的に血管芽細胞腫と診断され、術直後より腰部から右臀部の疼痛、右下肢のしびれは消失した。そして、残存した右L5、S1領域の知覚低下、右S1のしびれも術後1年で消失し、目下は筋力低下や膀胱直腸障害もなく就労に復帰している。
©Nankodo Co., Ltd., 2009