発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005190839
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
十字靱帯から発生したと考えられる嚢腫様病変5例を報告し,十字靱帯後方に存在する嚢腫病変の診断および治療上の注意を述べた.いずれも膝窩部痛を主訴とした.2例はMRIで後十字靱帯(PCL)に接した腫瘤を認め,後内側穿刺により後方関節包から発生したガングリオンと診断した.2例は前十字靱帯(ACL)の走行に沿って腫瘍を認め,ACL発生例と考えられ,後内側穿刺を行った1例では嚢腫と後方関節包との関係を確認した.これら4例には手術を行い,術後経過はいずれも良好であった.残りの1例はPCLの後方に腫瘤を認めたが,疼痛が軽微であるため経過観察とした.MRIはガングリオンの局在を評価する有用な診断法であるが,十字靱帯の後方に嚢腫像を認める場合には,嚢腫発生部位の鑑別は困難である.再発を防ぐためにも,外側傍膝蓋下穿刺に加えて後内側穿刺からの鏡視を併用し,後方コンパートメントの観察を十分に行う必要があると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2005