発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005190836
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58歳男.Th7以下完全麻痺の脊椎損傷のため車椅子生活を送っていた.L2~L3椎体破壊を生じ,L1~L4椎体固定,Th11~L6の後方固定を行った.約1ヵ月後,38℃台の不明熱が出現し,単純X線でS1椎体の透亮像を,MRIで同部位にT1強調で低信号,T2強調で高信号を呈する膿の貯留を認めた.穿刺培養の結果と併せ,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による化膿性脊椎炎と診断した.創部を開放とし,約1年半に亘りあらゆる方法を試みたが感染は鎮静化しなかった.その間,腰椎部の不安定性が出現し,坐位保持困難となった.単純X線でL6~S2間での動揺性がみられ,3-D CTでは腰仙椎の骨腰解像および巨大空洞を認めた.CTでは骨欠損部に腐骨が存在し,後腹膜腔への不良肉芽の増殖を認めた.Total thigh flapを応用し,左下肢を犠牲とした有茎骨移植および下肢筋皮弁を用いた一期的な腰仙椎再建と皮膚欠損に対する手術を行ったところ,術後3ヵ月で感染は完全に沈静化し,坐位保持可能となった.術後1年経過時点では有茎の脛骨と腰仙骨の間に骨癒合が得られており,車椅子による日常生活に復帰した.仙骨部褥瘡から仙骨骨髄炎へと波及した脊髄損傷患者には,サルベージ手術として本術式を考慮しても良いと思われた
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