発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005039461
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
71歳女.両側鎖骨部痛を主訴とした.乗用車の後部座席に乗車中,急停車し運転席のシートに前胸部を強打した.近医で鎖骨骨折と診断され,鎖骨バンド固定後,転院した.鎖骨以外に外傷はなかった.X線像では,両側とも中1/3での骨幹部骨折であった.受傷後から約9週間,鎖骨バンド固定を行って保存的に治療した.転位は認めたものの,良好な骨癒合が得られ,受傷後1年半を経過した現在,両肩関節の可動域制限,両肩周囲筋の筋力低下はなく,日常生活上の問題はない.両側同時に鎖骨骨折を受傷することは稀であり,さらに両側の鎖骨幹部骨折が他の骨折に合併せずに生じた報告は自験例を含め3例であった.本例は前胸部を打撲した際,非常に強い胸鎖乳突筋の牽引力が頸部に後屈とともにかかり,鎖骨骨折に至ったと考えられ,この点からも珍しい骨折であった
©Nankodo Co., Ltd., 2004