発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004071667
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32歳男.診断と治療に難渋した鎖骨周囲発生の骨肉腫の症例について報告した.左鎖骨部腫瘤を主訴とし,再発のため受診した.左鎖骨部に弾性軟で表面結節状の巨大な腫瘤を認めた.X線像,CTにて左鎖骨部の骨幹から骨端にかけて骨融解像を認め,腫瘍内の広範囲にわたる異常な骨化ないし石灰化像を伴っていた.血管造影で上大静脈内に左腕頭静脈より腫瘍が突出し,上大静脈の狭窄を認めた.腫瘍は腕神経叢および鎖骨下動静脈を巻き込んでおり,根治的治療および再建は不可能と判断し,化学療法を開始した.その後,左上肢および顔面の浮腫が進行し,脳底動脈狭窄を疑い,抗凝固療法を施行した.さらに上大静脈症候群の診断により,上大静脈腫瘍塞栓術を施行した.放射線療法も施行したが効果を認めず,腫瘍浸潤により頸髄障害が出現し,呼吸不全により腫瘍死した
©Nankodo Co., Ltd., 2003