発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005140043
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骨・軟部腫瘍に対し腫瘍広範切除術と鎖骨の部分合併切除を施行した3例について鎖骨切除が肩関節機能に及ぼす影響を検討した.症例1(68歳男).甲状腺癌骨転移にて肩鎖関節面から内側1/2までの左鎖骨を切除した.症例2(34歳女).軟骨粘液性線維腫にて胸鎖関節面から外側1/3までの左鎖骨を切除した.症例3(48歳男).紡錘型細胞肉腫にて肩鎖関節面から内側1/3まで右鎖骨を切除した.3例とも肩関節可動時や重量物挙上時における肩関節の不安定感,肩周囲の脱力感,肩関節の前内方偏位による左右差や上肢内転位での翼状肩甲骨を認めたが,いずれも著明な肩関節機能の低下はみられなかった.肩甲骨に対するテコとしての鎖骨の生理的機能は鎖骨切除後も肩甲骨周囲筋群にてほぼ代償されることが判明し,鎖骨切除を余儀なくされる場合でも患者には大きな機能損失が生じないことを説明する根拠の一つになると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2005