発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003301968
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57歳男.左下肢脱力感が出現し,起立・歩行不能となった.Th2以下の知覚鈍麻と高度の痺れ感,左側優位のBabinski反射やクローヌス陽性を伴った痙性不全対麻痺及び膀胱直腸障害が認められた.頸椎MRIでC7/Th1に脊髄を後方から圧排するT1強調像で等輝度,T2強調像で中心部が高輝度を呈する結節状の異常陰影が認められた.緊急手術でC6~Th1椎弓切除を行い,C7/Th1の左側に灰白色調,表面平滑で小指頭大の腫瘍が認められた.腫瘍は左C7/Th1関節部から発生して硬膜を直接圧迫しており,中枢側の硬膜外血管の怒張が著明であった.腫瘍と硬膜との癒着はなく鈍的に切除可能で,左C7/Th1関節部まで切除した.病理組織所見で,病変部の軟骨細胞の分葉状増殖が高度であり,核には2核のものや核腫大等の異型性を伴っていた.又,周辺部に関節滑膜組織様の構造を有する結合組織が存在していた.術後麻痺症状は著明に改善し,術後1ヵ月で膀胱直腸障害は消失して歩行も可能となった
©Nankodo Co., Ltd., 2003