発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004148690
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68歳男.誘因なく左股関節痛が出現し,対症療法を受けたが徐々に疼痛とROM制限が増悪した.その後,梨状筋症候群との診断で手術施行され,術中,米粒様の小腫瘤が多数摘出され再手術を勧められたが放置していた.今回,症状の増悪のため当科を初診した.入院時,歩容は疼痛性跛行であり,股関節前面に圧痛と腫脹,大臀筋,大腿四頭筋の筋萎縮を認めた.左股間節には可動性がなく強直していた.単純X線像では左大腿骨の骨萎縮と関節裂隙の軽度狭小化を認め,MRIでは関節内前方を中心にT1強調画像で低信号,T2強調画像で等信号~高信号の占拠性病変を認めた.関節造影では関節裂隙の不整はなく,頸部周囲に多数の蜂巣状の陰影欠損を認めた.滑膜軟骨腫症の診断にて手術を施行した.手術所見では関節包は肥厚し,滑膜表面は軟骨化していた.関節内は粒状の軟骨性腫瘤で充満し,頸部は軟骨化した関節包と癒着し可動性がみられなかった.軟骨腫を摘出し,滑膜は可及的に切除した.病理組織学的には軟骨腫であった.術後,左股関節痛は消失し,ROM制限は残存したが,患者は満足している
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