発行日 2001年10月1日
Published Date 2001/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002039464
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大腿骨骨幹部骨折に対して逆行性髄内釘を用いた8症例10骨折(男2例・女8例,手術時平均49.6歳,経過観察期間平均1年)について検討した.AO分類骨折型では,単純斜骨折のA2が3骨折,第3骨片を伴う楔状骨折のB1・B2が各2骨折,粉砕型複雑骨折のC1が1骨折,分節状のC2が2骨折であった.受傷から手術まで平均8日で,髄内釘の挿入所要時間は40~70分(平均45分)で,出血量は50ml以下の少量であった.3~12ヵ月で全例に骨癒合が得られたが,AO分類のB・Cタイプは6ヵ月以内に得られたのに対し,単純骨折のAタイプでは平均8.3ヵ月と遷延化していた.膝の軽度の違和感を訴える症例はあったが,可動域は術後2年を経過しても90°より改善しなかった骨幹部遠位1/3部骨折のCタイプの1例を除き,3~6ヵ月でほぼ正常域まで回復しており,膝の痛みや感染はなかった.以上より逆行性髄内釘は低侵襲で,多発外傷を伴う大腿部骨幹部骨折に有効と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2001