特集 骨折治療の最前線
下肢骨折に対する髄内釘治療 骨幹端部骨折に対する髄内釘治療のコツとピットフォール
普久原 朝海
1
1新潟大学医歯学総合病院 高次救命災害治療センター
キーワード:
下肢外傷
,
脛骨骨折
,
骨折
,
髄内固定法
,
内固定法
,
骨ネイル
,
骨プレート
,
大腿骨骨折
Keyword:
Bone Nails
,
Bone Plates
,
Fracture Fixation, Intramedullary
,
Fracture Fixation, Internal
,
Femoral Fractures
,
Leg Injuries
,
Tibial Fractures
,
Fractures, Bone
pp.385-395
発行日 2017年4月19日
Published Date 2017/4/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2017203073
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はじめに
髄内釘は大腿骨骨幹端部骨折および脛骨骨幹端 部骨折治療のgold standardである。1940年にKiel 大学のKüntscherが三翼釘をヒントにV字釘を考 案し,固定性を増すためにクローバー型髄内釘を 開発し報告した。これはクローバー型髄内釘のス リット部がスプリングのように髄腔内で開き,固 定性を得るものであったが,回旋力に対して弱く, 適応となる骨折型が限られていた。そこで Küntscherは回旋固定性を高めるため,近位およ び遠位部をスクリュー固定できるdetensor nailを 開発した。これはGrosseおよびKempfによって 1985年に紹介され,適応の拡大と良好な成績が報 告された。 髄内釘の利点は,軟部組織にとって低侵襲であ り,力学的に固定性が強いことである。骨幹部中 央の横骨折であれば髄内釘を挿入するだけで整復 位と良好な固定性を得ることができ,簡便で低侵 襲であり,術直後から荷重を許可でき,成績も良 好と,髄内釘治療はまさにgold standardな治療法 である。 近年は髄内釘の近位端と遠位端側にスクリュー ホールが設置され,横止めロッキングスクリュー を複数挿入できるものや,粗鬆骨でのロッキング スクリューバックアウト防止と角度安定性のため に,髄内釘のスクリューホールにロッキングスク リューがロックできる機構をもつものが開発さ れ,骨幹端部骨折へ適応が拡大されている。 本稿では骨幹端部骨折に対する髄内釘治療につ いて最近のtopicsについて解説する。
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