発行日 2001年10月1日
Published Date 2001/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002033755
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14歳男子.中学入学後剣道を始め,半年前から竹刀を打ち込むと左手関節尺側に疼痛が生じるようになり,近医にて尺骨茎状突起衝突症候群と診断され,約6ヵ月加療されたが改善しないため手術目的で紹介来院となった.X線では2mmの尺骨マイナス変異があり,尺骨茎状突起が9mmと長かった.関節鏡所見では橈骨手根関節尺側辺縁部の滑膜の増生,三角骨背面の関節軟骨のわずかな不整,月状三角骨間膜に軽度の消耗性変化を認めた.以上より剣道の打ち込みの際,手関節尺屈位を反復することで尺骨茎状突起と三角骨が衝突する為に疼痛を誘発した尺骨茎状突起衝突症候群と診断した.手術では尺骨茎状突起尺側に2cmの皮切を加え,尺側手根伸筋腱の腱床と三角線維軟骨固有部の尺骨窩付着部を損傷しないように尺骨茎状突起を露出して先端から7mm切除した.術後1ヵ月で剣道の再開を許可し,打ち込み時の疼痛は徐々に減少して術後4ヵ月時には殆ど消失した
©Nankodo Co., Ltd., 2001