発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005039463
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57歳男.右環指・小指,手掌尺側の痺れを主訴とした.3ヵ月前頃から右手関節尺側の腫脹を自覚していた.初診時,右手関節尺側に腫瘤を触知した.Guyon管部にTinel徴候を認めたが,圧痛・熱感はなかった.尺骨神経掌側枝領域に知覚異常を認めたが,尺骨神経伝導速度に低下を認めなかった.MRIで尺骨遠位から豆状骨付近にかけて,掌側に8×12×20mmのT1強調画像で低輝度,T2強調画像で高輝度の腫瘤を認め,造影で辺縁が増強された.腫瘤を摘出し,Guyon管を開放したが,Guyon管内に神経の圧迫所見は認めなかった.腫瘤内容物はゼリー様物質で,病理組織学的所見でガングリオンと診断された.手術翌日から環指・小指の痺れは軽減した.術後1年経過後,環指・小指先端に軽度痺れ感は残存しているが,腫瘤の再発は認めていない.本例は,Guyon管外に存在したガングリオンにより尺骨神経知覚枝の障害をきたした稀な症例である
©Nankodo Co., Ltd., 2004