発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017288219
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症例は78歳女性で、3ヵ月前に胃癌に対し幽門側胃切除術を施行した。術後補助化学療法としてS-1を開始したが食欲不振が強かったため、1コースの1週目で中止となった。3日前から吐気・嘔吐が出現し、その後食欲不振が持続した。胸腹部単純CT所見で、胃内は液体貯留のため拡張し、吻合部はやや高吸収域であった。左上下葉に浸潤影を認めた。吻合部の通過障害、脱水、嘔吐に伴う左誤嚥性肺炎の診断で入院した。吐気とともに吐血があり、意識障害を呈してショック状態となった。Hbの急激な低下を認めたため、赤血球濃厚液を輸血した。血圧は150mmHg台まで上昇し、意識障害も改善した。胃内の高吸収域は出血による凝固血と判断し、血圧を含め全身状態の安定後に緊急上部消化管内視鏡を施行した。胃内には新鮮血と凝固血を多量に認めた。吻合部から十二指腸側にかけて15mm大のH1潰瘍があり、潰瘍底に太い露出血管を認めた。緊急手術を施行した。術後経過は良好で術後3日目から飲水開始、術後4日目から食事を開始した。術後40日目に退院した。術後1年目の上部消化管内視鏡では吻合部潰瘍の再発はなかった。
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