発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007243122
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58歳女性。下腹部痛を主訴とした。入院時検査所見でWBC高値で、貧血、低蛋白血症を認めた。腹部CT所見では左後腹膜腔に脂肪性腫瘤を認め、その周囲から右後腹膜腔まで広がる血腫を認めた。出血性ショックを呈し輸血を開始したが、貧血の進行を認め、止血目的に血管造影を施行した。血管造影所見にて左腎動脈下極枝末梢に動脈瘤形成があり、その末梢側で腫瘍への供血を認め、左腎動脈下極枝をゼルフォーム細片と金属コイルで塞栓した。造影剤の血管外漏出はなく、活動性の出血は止まっている状態であると思われたが、腫瘍および出血による圧迫症状が強く、同日開腹手術を施行した。術中所見にて左腎との境界が不明瞭で、左腎を合併切除し腫瘍を摘出し、出血量は血腫と併せて2360g、術中輸血量はMAP4単位であった。病理組織所見にて成熟した脂肪細胞および脂肪芽細胞の増殖を認め、また一部に紡錘形細胞の束状増殖を認め、硬化型高分化脂肪肉腫と診断した。術後6ヵ月経過現在再発兆候ないが、厳重な経過観察が必要と思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007