発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017114821
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54歳女。約2週間前より心窩部痛、上腹部腫瘤、食事のつかえ感を自覚するようになった。血液検査所見では凝固異常を認め、日本救急医学会による急性期DIC(播種性血管内凝固)の診断基準を満たしており同症と診断した。Dynamic CTでは動脈相で肝左葉全体にびまん性に広がる斑状の早期濃染像を認めた。また、肝S3に長径15cm大の腫瘤を認め、辺縁より中心部への造影効果の広がりを認めた。前者はびまん性血管腫、後者は海綿状血管腫と診断した。腹部MRI所見と併せて、Kasabach-Merritt症候群およびDICを伴う巨大肝血管腫と診断した。遺伝子組換えトロンボモジュリン380U/kgを連日投与し、凝固能が著明改善した後に肝左葉切除術を施行した。肝切離には超音波吸引装置と超音波凝固切開装置を使用し、oozingに対してはイオアドバンス電極付き電気メスを多用した。術後経過は良好で、血液凝固能は術後早期には異常値を示したが、術後1ヵ月以降は正常域で推移している。
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