発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316468
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50歳女性。他院で左乳癌に対し皮下乳腺全摘術+腋窩リンパ節郭清術を施行した。今回、著者らの施設で術後化学療法を施行中、マンモグラフィ検診で右C領域に区域性微小円形石灰化が指摘された。乳腺超音波検査を行ったところ、右C領域には31×9mmの石灰化を伴う低エコー領域が認められた。また、胸部CTでは右C領域の乳腺に造影効果が認められたが、腋窩リンパ節の腫脹や遠隔転移は認められなかった。以上、これらの所見を踏まえて、乳腺針生検により、本症例は乳腺内に壊死を伴う異型上皮を認める非浸潤性乳管癌と診断された。治療は右側乳房の切除に際し、右乳房全摘術、有茎腹直筋皮弁を用いた両側乳房同時再建の方針となった。術中所見では右乳房切除、センチネルリンパ節生検でのリンパ節転移の陰性所見確認後、左乳房の皮弁を剥離し、腹部にお椀型皮膚切開を加え作成した皮弁を正中で2分割した。そして弓状線の高さで左右腹直筋の中央のみ離断し、後鞘から剥離後、上腹壁動静脈を茎とする皮弁を作成し、皮下トンネルを作成しつつ、左右腹直筋皮弁を同側の乳房欠損部に充填した(手術時間362分、出血量338ml)。その結果、術後経過は良好で、患者は第10病日目に退院となった。尚、目下、術後6ヵ月経過で概ね整容性は保たれており、患者の満足度も非常に高い。
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