消化器手術のための栄養
周術期immunonutritionの意義
深柄 和彦
1
1東京大学医学部附属病院 手術部
キーワード:
免疫アジュバント
,
Arginine
,
Glutamine
,
経腸栄養
,
オメガ3脂肪酸
,
消化器外科
,
治療成績
,
周術期管理
,
外科的侵襲
Keyword:
Adjuvants, Immunologic
,
Arginine
,
Enteral Nutrition
,
Digestive System Surgical Procedures
,
Fatty Acids, Omega-3
,
Treatment Outcome
,
Perioperative Care
,
Glutamine
pp.859-864
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016292332
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Immunonutritionとは,通常の食事や栄養剤にも含まれているアルギニンやグルタミン,ω-3系脂肪酸などの免疫栄養素を,単独あるいは組み合わせて薬理量投与することによって,生体の免疫能調節作用を期待する栄養療法である.アルギニンとω-3系脂肪酸を強化したタイプの栄養製剤は,特にimmune-enhancing dietsと呼ばれ,周術期の投与で,術後感染性合併症の予防,在院日数短縮効果が数多く報告されてきた.このタイプの栄養剤は,アルギニンのもつ強力な免疫細胞賦活作用のために,過剰な炎症反応がすでに生じている急性肺障害患者など重症敗血症患者では,さらなる炎症反応の増悪が生じる危険性が指摘された.しかし,待機手術患者ではそのような危険性はほとんどなく,術後感染性合併症発生率が高い栄養状態がわるい患者,大侵襲手術患者への投与が推奨されることにかわりはない.近年は,過剰な炎症反応の制御を目的としたタイプの栄養製剤,単独の免疫栄養素投与の効果が,さまざまな病態で検証されている.
©Nankodo Co., Ltd., 2016