大腸癌イレウスの治療と問題点
左側大腸癌イレウスに対する一期的手術 経肛門的イレウス管による術前減圧による一期的切除,吻合
諸橋 一
1
,
坂本 義之
,
袴田 健一
1弘前大学 消化器外科
キーワード:
減圧
,
肛門部
,
人工肛門造設術
,
ステント
,
大腸腫瘍
,
腸閉塞
,
リンパ節郭清
,
選択的手術
,
治療成績
,
大腸切除
,
イレウス管
,
腸洗浄
,
腸吻合術
,
腹部CT
Keyword:
Anal Canal
,
Decompression
,
Intestinal Obstruction
,
Lymph Node Excision
,
Colorectal Neoplasms
,
Stents
,
Treatment Outcome
,
Elective Surgical Procedures
pp.1515-1518
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016074364
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左側大腸癌イレウスに対しては,経肛門的イレウス管の挿入による腸管の減圧が有効である.経肛門的イレウス管は比較的安全に挿入が可能で,安価である.われわれの閉塞症状を有する症例に対する治療方針は,経肛門的イレウス管による減圧後の一期的切除・吻合を計画し,減圧が不良な場合は吻合後に予防的回腸ストーマを造設することとしている.待機手術のメリットは,腸管を減圧することで全身状態の改善,拡張腸管の浮腫や血行の改善を得ることが可能となり,一期的吻合をより安全に行いうることである.しかし,最近は有効な抗癌薬治療を組み合わせることで治療が多様化しており,癌の根治性と患者の生活の質(QOL)のバランスのとれた治療に留意する必要がある.特に直腸癌イレウスに対する一期的切除・吻合は結腸癌と比較して吻合不全の可能性が高いため,一期的切除・吻合の判断には十分な経験と技術が必要であると考えられる.
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