門脈枝塞栓術・結紮術のすべて
門脈枝塞栓術・結紮術開発の歴史
打波 宇
1
,
山本 雄造
1秋田大学 消化器外科
キーワード:
肝再生
,
肝切除
,
肝機能検査
,
肝臓腫瘍
,
結紮
,
臓器サイズ
,
塞栓術
,
肥大
,
門脈
,
近代医学史
,
経皮経肝門脈塞栓術
Keyword:
Embolization, Therapeutic
,
Hepatectomy
,
Hypertrophy
,
Ligation
,
Liver Function Tests
,
Liver Neoplasms
,
Liver Regeneration
,
Organ Size
,
Portal Vein
,
History, Modern 1601-
pp.869-872
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015292124
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1920年,ウサギで門脈枝の結紮が血流遮断葉の萎縮と非遮断葉の再生肥大を引き起こすことが報告され,これが門脈枝塞栓(PVE)・結紮術(PVL)の原点となった.この現象に着目した本庄が,萎縮による抗癌効果を期待して1961年にPVLを臨床に導入したところ,ヒトでも非結紮葉が再生肥大することが証明された.1982年には,逆にこの再生肥大が誘発される現象のほうに着目して,幕内・木下らにより,経皮経肝的な門脈塞栓術(PTPE)が開発されるにいたった.PTPEはPVLと異なり,追加手術をすることなく拡大肝切除前に残肝予備能を高め,術後肝不全を予防できることから,1990年以降急速に普及し今日にいたっている.一方2012年には,PVLの1亜型ともいえるassociating liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy(ALPPS)手技が,PVEよりも迅速でかつ効率の高い残肝容積増加が得られるとして報告され,門脈血流遮断を応用した処置はさらなる発展をみせている.
©Nankodo Co., Ltd., 2015