臨床と研究
鼠径ヘルニア根治術後の簡便な創管理を目的とした創部被覆材に関する検討 切開創surgical site infection発生防止を基軸とした簡便な創管理の実践
清水 喜徳
1
,
加藤 博久
,
仁科 晴弘
,
佐藤 篤
1江東病院 消化器センター外科
キーワード:
手術創感染
,
術後管理
,
鼠径ヘルニア
,
治療成績
,
ランダム化比較試験
,
創傷被覆材
,
ヘルニア縫合術
Keyword:
Hernia, Inguinal
,
Postoperative Care
,
Surgical Wound Infection
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Treatment Outcome
,
Herniorrhaphy
pp.525-528
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226265
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2009年11月~2011年4月の間に施行した鼠径ヘルニア根治術症例のうち、嵌頓による緊急手術例および腸管切除例を除いた54症例を対象に、術後7病日までの創部の状態と切開創surgical site infection(SSI)の発生について検討した。対象を無作為に創部被覆材にIV3000を用いたIV群27例(男性26例、女性1例、平均年齢65.7±11.8歳)とTegadermを用いたTD群27例(男性24例、女性3例、67.7±15.9歳)に振り分け、前方視的に比較した。その結果、1)創部の状態では被覆材下に滲出液貯留がみられた症例数(IV群/TD群)は第1病日が8例/22例、第2病日が4例/23例といずれもIV群で有意に少なかった。2)被覆材下の滲出液貯留により被覆材外へ滲出液が漏出して被覆材の貼り替えを要したのはIV群が1例、TD群が7例と有意差がみられたが、切開創SSIの発生は両群とも認められなかった。以上より、IV3000はTegadermよりも水分透過能が高いことから、被覆材から水分が蒸散しやすく、これが滲出液の貯留を起こり難い状態に維持したものと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014