発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013031670
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2005年4月~2010年3月の5年間に切除した虫垂・肛門管を除く大腸癌112症例を対象に、発症頻度の比較的低い低分化型癌と粘液癌を高分化・中分化腺癌(分化型癌)と比較した。その結果、1)患者背景は年齢では分化型癌は70歳以上が多く、低分化型癌・粘液癌は有意に発症年齢が低く、性別では分化型癌と低分化型癌で男性が多い傾向がみられた。2)術前のperformance status(PS)は分化型癌では0~1の症例が多いのに対し、低分化癌・粘液癌では2~4のPS不良例が有意に多くみられた。3)血液検査では分化型癌に比べ低分化型癌・粘液癌では有意に貧血が高度であり、術前の血清アルブミン値も分化型癌に比べ低分化型癌・粘液癌では低値な傾向がみられた。4)肉眼型分類では3型・4型を浸潤型と定義すると、浸潤型は分化型癌に比べ低分化型癌・粘液癌に有意に高率であり、占拠部位では低分化型癌・粘液癌は分化型癌に比べ有意に右側結腸に多くみられた。5)肝転移の頻度は分化型癌に比べ低分化型癌・粘液癌で多い傾向がみられ、腹膜播種は低分化型癌・粘液癌が分化型癌に比べ有意に高率であった。尚、5年生存率は分化型癌に比べ低分化型癌・粘液癌では有意に短かった。
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