発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005188900
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1994~2001年に経験したび漫浸潤型大腸癌の5例について臨床的検討を行った.年齢は平均62歳(36~88歳)で,男2例,女3例,病変部位は右側結腸3例,左側結腸・直腸2例であった.症状は腹痛3例,排便困難2例で,1例は食欲不振と嘔吐を主症状としていた.3例は大腸内視鏡検査で,1例は肛門鏡で診断された.1例は急性虫垂炎の診断で開腹し,術中所見と播種巣の迅速診断で診断が確定した.腫瘍マーカーは4例で測定され,CEAは2例で軽度上昇を,CA19-9は2例で上昇を認めた.全例で大腸内視鏡検査では境界不明瞭で立ち上がりがはっきりしない病変としてとらえられ,生検を行った4例はすべて腺癌であった.注腸造影検査では長い腸管の壁不整,硬化像を認めた.4例の腹部CT所見は壁の肥厚として認められた.組織型は低分化腺癌2例,粘液癌2例,印環細胞癌1例で,全例が高度な粘膜下層への進展とリンパ管侵襲を認め,多発性肝転移2例,腹膜播種4例,高度リンパ節転移3例,組織学的断端陽性3例を認め,2例には化学療法を施行したが,1ヵ月から1年11ヵ月で全例が死亡した
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