発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011167774
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
57歳女。右季肋部痛が出現し、十二指腸乳頭部癌の診断で全膵温存十二指腸II部切除術、Billroth I型様再建を施行された。経過良好であったが、術後6ヵ月以内に入院加療を要する膵炎を3回繰り返したため精査を行った。内視鏡的逆行性胆管膵管造影で膵頭部主膵管壁の不整狭窄が疑われ、膵液細胞診はclass IVであった。Multiditector-row CTでは、膵頭部主膵管周囲に境界明瞭なhypodensity areaが疑われた。微小膵癌を疑い手術施行し、明らかな腫瘤は触知できなかったが、膵頭部を門脈右縁で切離し、D2リンパ節郭清を伴う膵頭十二指腸切除術、Child変法再建を行った。病理組織所見で、主膵管壁は膵空腸吻合部から狭窄部までの25mmにわたり、膵炎による高度の線維化や炎症細胞浸潤、壁の肥厚を認めた。主膵管上皮は膵空腸吻合部近傍において核の腫大と細胞質の異型が強く、平坦型増殖を示し、膵上皮内癌と診断された。これに続く膵管上皮は、狭窄部まで連続する異型過形成部分がみられた。術後合併症なく第40病日に退院し、その後も再燃はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011