発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011002912
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51歳女性。患者は左鼠径部の有痛性腫瘤を主訴に外科へ受診となり、左鼠径ヘルニアが疑われた。だが、精査中に貧血を認めたため婦人科へ紹介、子宮腺筋症の診断で鉄剤投与を開始されるも、2週間後の超音波にて左鼠径部に25.7×10.0mmの卵円形腫瘤が確認された。以後、所見にて腹圧に変化なく、血流信号(+)で、疼痛も軽快していることから経過観察としていたが、その後、再び左鼠径部痛が出現し、再診となった。骨盤部CTでは左鼠径部に軟部腫瘤が認められ、局在的には子宮円靱帯に相当していた。診断的治療目的に手術を施行したところ、鼠径管を開放すると子宮円靱帯にそって母指頭大・弾性硬の腫瘤がみられ、この腫瘤はヘルニア嚢を裏打ちするような形で存在していた。更にヘルニア嚢は鼠径管内で盲端となっていた。以上より、腫瘤とヘルニア嚢余剰部を合併切除し、Marcy法で修復した結果、本症例は病理組織学的に外鼠径ヘルニアに併存した鼠径部子宮内膜症で、術後の経過は良好であった。
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